ABOUT
市民と連携する科学の力で、
環境問題の解決を目指す
※本事業は2022年3月31日をもって終了しました。アーカイブとしてこのウェブサイトを保存します。
日夜叫ばれる環境問題。大事な問題だってことはわかるんだけど、なんとなく他人ごとに感じてしまう。忙しい毎日。環境に思いをはせることを、つい忘れてしまう。そんな現代人が、身近な森・里・海の自然を感じて、考えて、動ける市民参加型の環境問題解決モデルを作るために、日本財団と京都大学は「RE:CONNECT」を立ち上げました。
シチズンサイエンスの考え方で、科学者と市民が手を取り合って自然を調べます。市民が楽しみながら行う活動が、自然を理解するための貴重なビッグデータに。科学者はそのデータから、森・里・海のつながりを解明し、そのあるべき姿を社会に提案します。
NEWS研究の日々をお伝えします
RESEARCH研究内容をピックアップしてご紹介します
シチズンサイエンスの起爆剤としてRE:CONNECTが着目しているのが人工知能です。たとえば、市民ボランティアから提供される画像に含まれる水辺のごみを人工知能で識別することで、手作業では到底不可能なビッグデータの収集が可能になります。
2020年度前期は、ペットボトルなど水辺で目につき、深刻な環境問題として懸念されているプラスチックごみの自動識別を進めてきました。すでに多様なペットボトルの自動識別に成功しており、今後はシチズンサイエンスのツールとして、スマートフォンアプリの実装などを視野に入れています。
亀岡 大真(林学/地域研究) 芝田 篤紀(地理学/自然地理学) 髙屋 浩介(動物生態学) 友尻 大幹(生態学/地域研究) 佐々木 優(環境経済学) 伊勢 武史(情報科学/生態学)森里海が、川によってつながっていることは誰にでもわかります。しかし、何が・いつ・どのようにつながっているのか、定量的かつ総合的な理解は遅れているのが現状です。その原因は、サイエンスの対象として森里海のシステムは巨大であるため、観測がむずかしかったこと。
そこでRE:CONNECTでは、近年入手が可能になったビッグデータ(人工衛星に搭載されたセンサー・電子化された政府の統計情報・シチズンサイエンスと人工知能により自動取得されるデータなど)を最新の統計技術で処理することで、森里海連環に関する新しい知見の発見を目指しています。これにより、私たち市民が都市・田畑・里山で何をすれば、海にどのような影響がおよぶかという関係性がつきとめられ、エビデンスに基づく環境保全が可能となるのです。
2020年度前期は、得られたデータの整備を進め、スパース解析・関数データ解析などの統計技術の導入を行ってきました。ここからさらにシチズンサイエンスのデータが加わることで、解析の幅が大きく広がることを期待しています。
大庭 ゆりか(森林生態学/環境科学) 松井 秀俊(統計的モデリング/モデル選択) 村上 弘章(環境DNA/水産学) 山崎 彩(分子生態学/環境DNA) 伊藤 真(動物行動学) 伊勢 武史(情報科学/生態系)環境保全に対する市民の意識調査には、バイアスが生じることが指摘されてきました。その原因として、そもそもアンケート対象者の選定に偏りが生じたり、アンケートに本心が反映されるとは限らないことなどが挙げられます。
一方、最近は市民がSNSなどでさかんに情報発信を行うようになりましたが、匿名かつリアルタイムのメディアからは市民の「本音」がうかがいしれたとしても、データが膨大なため網羅的な情報収集は困難でした。そこでRE:CONNECTでは、Twitterデータの自動収集技術の確立を目指しています。
2020年度前期にこの技術の実装に成功し、7月1日のレジ袋有料化など、環境問題と市民生活に深くかかわる社会変化のタイミングで、市民が何を考えているかの記録を収集し始めています。また、Twitterの発言がどのような「タイプ」の人たちによって行われているかを解析することで、すでに環境問題に関心を持つ層・今後関心を持つ可能性のある層などを浮き彫りにすることが可能となり、今後の社会連携についての貴重な情報源とすることを目指しています。
内田 由紀子(社会心理学/文化心理学) 打田 篤彦(社会心理学) 伊勢 武史(情報科学/生態学)日本は海に囲まれた森の国です。そのような特色を持つ日本では、森から海までの健全な生態系のつながりが、川や海における生物生産はもちろんのこと、地域の振興や人々の安全で安心な暮らしにとっても極めて重要です。このような観点から、私たちは森里海連環学という新しい学問領域を提唱し教育・研究・社会連携を進めてきました。
朝倉 彰(海洋生物学) 笠井 亮秀(海洋環境学) 亀山 哲(流域圏環境学/空間情報学)